ステンドグラスには大きくわけて、2つあります。ランプなどの小物と、窓に付けるパネルです。(その他、デザインの表現方法として、絵付けやサンドブラスト・フュージングなどの技法があります。)
小物の制作は、教室などで教えられているものです。
・ガラスを切って
・銅のテープを巻いて
・ハンダで付けていく。
この技法で、窓のパネルを作る事もできます。細かいデザインの時は、わざとそういう作り方をする場合もあります。しかし、1m近い大きさのパネルになると、この技法では、強度が足りなくなります。
一般的に窓のパネルには、ケイムというH型の鉛線を使います。H型の溝の部分にガラスを差し込んでいきます。
このケイムを使った技法がわからない、という方もたくさんいます。以前、教室をひらいている方にこの技法をこっそり(そこの生徒さんにみつからないように)教えにいった事もあります。やってみれば、そんなに難しいものではないのですが、やはり、ちょっとしたコツのような事がわからなかったり、どの行程でどの道具を使うのかがわからなかったりするんです。
作り方は、もともとステンドグラスの技術がある方なら、すぐに覚えれますが、問題は、取付け方法です。
パネルの取付け方法は、四方押し縁で押さえるのが一番良いのですが、どういう風にはめるのかが分からずにいる方もたくさんいます。建築屋さんでも、どう付けるのかは分かっていません。ちょっと説明すれば、そこはプロですので、すぐに理解して、取り付けれる様に取付け部分の枠を加工してくれます。
大きなステンドグラス会社では、取付け枠の加工から取付けまでしていますが、ビトロのような一人で作っている所では、それは難しいです。
まず現場には2~3人で行かなくてはいけません。一人では無理です。「ちょっとパネルを押さえている人」とかが必要なんです。それに、押し縁ではない付け方で『プラスチックサッシを外して付ける』なんて事になった時、どこを引っかければ外れるか、分からなかったりします。へたに素人が手を出すと、ガラスが割れてしまったりします。やはり、プロのサッシ屋さんに頼むのが安心です。
取付け部分の窓は、外側に1枚ガラスがあって、室内側にステンドグラスを付けます。昔は、外側のガラスは無くて、ステンドグラス1枚だけ入っていました。今は、そういう付け方はしなくなっています。ステンドグラスのパネルはガラスとケイムの間にパテをうめるので、そんなに隙間が開いている事もないのですが、多少の隙間風は入ります。
以前、車で走っていると、ステンドグラスの窓があって、ステンドグラス1枚だけ入れていてビックリした事があります。この北海道では、冬場はきついのではないか?と思います。偶然、その家の事を知っている人にお会いした時に聞いた話しだと、その家の人がステンドグラスを習っていて、パネルを作って窓に入れたらしいです。
取付け方法を知らなかったために、普通のガラスとステンドグラスを取り替えればいいんだと思ったのでしょうね。寒さだけではなく、雨風にさらされると、ケイム部分は白くなってしまったりします。風圧でステンドグラスが割れる事はありませんが、美しい状態で保つためにも、外側のガラスは必要です。
「分からない事は、人に聞く」 という事は大事ですね。私も、取付けの時は、建築屋さん・サッシ屋さん・大工さんとちゃんと打ち合わせをしています。現場によって、多少取付け方法は変わります。変なプライドや思い込みで、無理な取付けをしてしまっては、そこに住むお客さまに失礼です。
(2003年/5月メルマガより 2004年/1月更新)