「ビトロのステンドグラスのコンセプト」なんて言うとおおげさですが、ビトロの小物をデザインする時に考える事、ステンドグラスのある生活とはどんなものか。そんなお話しを今回はしたいと思います。
ステンドグラスというと、ティファニーのランプや教会にあるものというイメージを持たれている方が結構多いのが現実です。私も初めは、「くどい」というイメージを持っていました。
ティファニーのランプなどは、細かいデザインで、色もたくさん使っていて、芸術的には素晴らしい事は確かです。しかし、価格もやはり高い!
細かいデザインの物は、手間もかかるので、仕方の無い事ですが、これでは、経済的に余裕のある方しか、ステンドグラスを手にできないと思い、なんとか安くして、普通の若い年代の方の生活の中にも取り入れてもらえないかと考えました。
22歳で制作会社を独立して、現在私は29歳です。
やはり、同年代の方にも、ステンドグラスの美しさ、良さを知って欲しいというのが正直な気持ちです。
そこで考えたのが、
1:現代の家(インテリア)にも合うシンプルなデザイン
2:価格を安くする為に手間をなるべくかけない作り方
3:価格の設定
3の価格の設定が一番大事だなぁと思い、これも3パターン。
1:自分用に買える 3,000円~5,000円の物
2:プレゼント用に買える 5,000円~15,000円の物
3:新築祝いや結婚祝いに、友人何人かで出し合って買える
30,000円以上の物
これらを基準にして、デザインしています。
しかし、そればかりではつまらないので、好きなデザインで価格の事は考えずに作っているものもありますけどね。(うはは)
ステンドグラスのある生活とはどんなものか? それは、ちょっとした心のゆとりです。私の家や作業場にも、ステンドグラスがあります。商品の在庫ではなく、実際に使っているものです。
壁掛けのパネルや、キーフック・はさむM・ペン立てなどです。
それらが与えてくれる心のゆとりとは、具体的に説明すると、パソコンに向かって仕事をしている時に、ふとパネルに目が行く、するとガラスの質感や色にしばし魅入ってしまう。
家に帰って鍵をキーフックに掛ける時、ちょっと「綺麗だなぁ」と思う。
テレビを観ている時に、テレビの上の写真立てに目が行き「ふぅ」と一息つく。
そんな小さなホッとする瞬間が心のゆとりだと思います。
ガラスは、とても存在感があり美しいものです。光りのあたり具合などでも色が変化したり、キラキラしたり。
木やプラスチックでは味わえない色の美しさ、透明感の魅力は、美味しいコーヒーや紅茶を飲んだ時に、心がほぐれる感覚に似ています。
日常の中にそんな小さな幸せを、みなさんにも味わってほしくて、新作など考えています。
「こんな物が家にあったら、楽しい気持ちになるかな」
「ホッとした温かい気持ちになれるかな」
そんな想像をしながらデザインするのは、とても楽しいものです。
自分が試して良かった事を人にもすすめる。
そんな単純な気持ちで、ステンドグラスをもっと生活の中に気軽に取り入れて欲しいと思って作っています。
(2004年/07月メルマガより 2006年/11月更新)