今回のお話は、良い作品とはいったいどういう物か?についてです。これはとても難しいです。人それぞれ好みは違いますからね。
制作会社に勤めていた頃、一時期おみやげ品を作っていた事がありました。「その土地をモチーフにしたデザインにする」と決まっていましたので、大雪山をデザインしたお皿やら、なにやらと作っていたのですが、私はどうしてもその作品を好きにはなれませんでした。売れ行きもイマイチでした。
そんな話しを兄にした時に「自分が良いと思わない物を、人が良いと思うはずが無いだろ。」と、厳しく言われました。この時の衝撃といったら、トンカチで頭を叩かれたようでしたね。まったくその通りです。
その後独立して、個展などで小物を売っていると、とても興味を示してくれる方もいますが、「ふぅ~ん」という感じで、眺めていく方もいます。あまりにも興味が無さそうだと、「良くないのかな?」という不安で眠れない日もありました。
「私はダメなんじゃないか?」とか「良いものって何なんだ?」とか、マイナスな事ばかり考えていました。そんなどんよりした私を見て姉が「私は久子の作ったステンドグラス好きだよ。気に入って買ってくれる人だっているでしょ。」と言ってくれたんです。
またしても、トンカチで頭を叩かれたようでしたね。
100人に1人、1000人に1人でも、良いって思ってくれる人がいるんなら、それでいいんだ!その気に入ってくれた人達のためにも、がんばるぞ!!と思いましたね。
良い作品とは、自分のベストを尽くした作品なんだと思います。ご注文頂いたお客さまのために、今の自分のベストを尽くす事が大切なんだと思います。
子供が一生懸命描いた絵は、下手でも、何か感動するものがあります。作る人の気持ちは、その作品に出るものです。
大人になると、肩書きなどに惑わされがちになります。確かに、「○○展、最優秀賞」などというのは、素晴らしいものかもしれませんが、それが自分の好みに合っているかは別です。
自分の目で見て、何か感じる事ができる物が、自分にとっての『良い作品』なのだと思います。1人でも多くの人に、「綺麗だなぁ」と思ってもらえるように、こらからも頑張ります。
(2003年/7月メルマガより 2004年/5月更新)